2016/11/20 (Sun)

日本遺産ー日刀保のたたら製鉄

日刀穂の一つの事業である「たたら製鉄」が日本遺産に登録されました。以下日刀保HPから

「たたらを世界遺産に」という動きがあることは、以前もお伝えしたこと思います。
その認定に向けてまずは地歩を固めようという意図のもと、日刀保たたらが所在する島根県のいくつかの自治体が、日本遺産への認定手続きを進めていました。
その成果が本年四月二十五日に結実し、ついに「日本遺産」への認定がなされました。
ここでは、その内容をお伝えいたします。日本遺産の手続きは、「出雲国たたら風土記―鉄づくり千年が生んだ物語」というタイトルで申請され、申請者は地元自治体の雲南市・安来市・奥出雲町の三市町村です。
そこでは、たたらを通じて奥出雲地域一帯が繁栄してきた歴史が語られ、単なる鉄造りの技術のみならず、たたらを中心にして形成された文化や社会のあり方などが強調されています。
この三市町村は島根県でも東部に位置しており、山間部は広島と岡山へと繫がっていきます。
いわゆる「秘境」として語られがちの地域です。
しかしながら、その「秘境」の持つポテンシャルの高さを語り尽くしてくれるのがたたら製鉄なのです。
鉄の生産は神話時代から語られ、歴史的には『出雲国風土記』にその記述が残されています。
さらに時代が降ると、たたらはこの地域の一大産業として大いに繁栄し、多くの山林大地主なども輩出されました。
そして単なる鉄づくりだけではなく、地域一帯となってたたらという文化を守っていこうという歴史が刻まれてきました。
砂鉄採取のための鉄か んな穴流しや、木炭生産のための山林保護などからは、特筆すべき技術と「ものづくり文化」を今日にまで残してきました。
鉄穴流しの跡地は棚田として整備され、さらにはソバの栽培も行われ、その景観は奥出雲地域ならではの「美」をなしています。
また、木炭生産に関わる森林保護政策は、『文明崩壊』や『銃・病原菌・鉄』を書いたジャレド・ダイアモンドによって高く評価され、環境問題解決への大きなトピックが含まれていることが明らかとなってきました。
日本遺産へ認定された「日刀保たたら」以外での構成文化財としては、「菅谷たたら山内」「田部家土蔵群と吉田の街並み」「金屋子神社」「櫻井家住宅」「絲原家住宅」「奥出雲たたら製鉄および棚田の文化的景観」など総計三十箇所におよび、たたら文化を語る上での必要十分条件は、ほぼ網羅されていると言っても過言ではないでしょう。
この各所を回れば、たたら文化の奥深さ・先先進性、そして奥出雲地域のもつ「自然資本」としての潜在的かつ歴史的地力が認識できることと思います。
今回日本遺産認定がなされたことで、地元はさらに活気づき、世界遺産認定へと歩みを進めることとなるでしょう。
日刀保たたらもその一角に名を連ねていることは、まさに日刀保たたらが現在進行形で、文化財としての価値を日々再生産していることの証左とも言えることです。
この事実を踏まえ、その重みをさらに咀嚼しつつ、今後も日刀保たたら運営に全力を挙げて参ります。
(黒滝たたら・伝統文化推進課長)