2015/01/23 (Fri)

文化財保護法とユネスコ条約

 平成26年デステネーションキャンペーン「国宝太刀信房と真光」展を行い、国宝太刀2振と重要文化財短刀吉光等を展示、その凜とした刀姿は大勢の皆様を魅了しました。日本刀は古来より武器をこえた存在として、信仰、儀礼、装飾、また魁けて鑑賞がおこなわれ美術工芸品として大切にされてきました。
 約30年前、酒井家所蔵の刀剣類が私宅で盗難にあい、大変悔しい思いをいたしました。その後二人組の犯人は、全国で22億円の盗みを働いたとして逮捕、新聞で大きく報道されました。一部は返還されたものの、他は所在がわからず、時効を迎えてしまいました。その後、警察、刀剣関係者はじめ皆様には大変ご心配をいただき、致道博物館所蔵にして名刀吉光一振だけは取り戻すことができました。ご心配ご協力いただいた皆様にあらためてお礼を申し上げます。
 1月21日文化庁が現在の文化財の所在調査を公表、その所在不明リストに、盗まれた見返り元重がなかったことから、急遽取材をうけました。実は元重については、この30年の間、全国各地よりいろいろな情報があり、警察と連携しながら、現場を押さえようとしたときもありました。大阪の愛刀家の方から、せっかくの重要文化財が公に鑑賞できないのは、刀剣文化にとっても残念な話といわれ、ご心配いただいた方々等とも相談し、所有者として心情的にも買い戻しは納得できないので、その方に買い戻していただきました。とは簡単にいうものの買い戻しには大変ご苦労されたと思います。昨年の暮れには文化庁はじめ関係機関の手続きをすませました。いずれ致道博物館で展示させていただこうと思います。
その記事が新聞に載ったため、翌日もはまたマスコミ取材をうけることになりました。
 さてこのような不測の事態について日本の法律はどう対応しているのでしょうか。
近年文化財保護法を改正して、日本の国宝、重要文化財や重要有形民俗文化財の輸出については文化庁長官の許可が必要になり、罰則が設けられました。また「日本が世界でも数少ない盗難美術品の購入者に返還義務のない国」といわれてきました。ようやく平成14年に、特定外国文化財の善意取得者(善意の第三者)に対する回復請求期間を、2年から民法の特例として代価弁償を条件に10年間と延長し、「文化財の不法な輸出入等の規則等に関する法律」、通称ユネスコ条約を批准しました。盗難被害者にとって盗難品を取り戻せる可能性が増えたといえますが、残念なことに国内については変わらず、善意取得者に対して回復請求は民法193条でいう2年間だけです。英米では原則として元所有者の返還請求がみとめられています。ロンドンには盗難美術品の登録機関があり取引の際に確認出来るという。
 セキュリテイ、警備の強化等の防止策は勿論のこと、購入には十分検証することに加え、かけがえのない文化財の保全と盗難の抑止として、欧米なみの法整備を強く望みたいものです。
 国の威信にかけて、すくなくても日本の国宝、重要文化財等については、時効制度や善意の第三者制度は見直すべきと思います。
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山形新聞
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朝日新聞
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山形新聞